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情報デザイン特論10/31ver.2

宿題をします。
前回の続き、リチャードサッパーのまとめです。

・リチャードサッパー
経済学部卒。デザインの経済効果を研究をしていた事が契機となり、ベンツに入社。3年程ハンドルのデザインをした後ミラノに帰り、そこでジオ・ポンティの事務所に勤務。その後マルコ・ザヌーゾと15年程共にデザイン活動。そして1980年からIBMでコンサルタントを勤め、現在に至る。
*IBMはデザインコンサルタントを長期的に雇う(おそらく亡くなるまで)。そうすることでコンサルタントは社内デザイナーより長くIBMに携わることになり、長期的な視野(5年後、10年後見据えた)で社内を見渡すことが出来る。

飽きないデザイン=動きのあるデザイン:
生活の中でずっと意識され、飽きることのないデザインとは存在するのか。サッパーは自然に着目し、人はなぜ自然からいつも感銘を受け、飽きる事がないのか考え、その中で”自然の動き”に着目した。雲は常に変化する。その為人は雲を見続けても飽きることはない。プロダクトに”動き”を取り込むことで使い続けても飽きる事のないデザインを目指す。

動きの種類
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1ON/OFFの変化
プロダクトを使う際の形、使わない時の形それぞれに相応しいありようを考え、一つの物にONとOFFの状態を”動き”として盛り込む。(例:ブリオンベガのTV)
2物自体の動き
プロダクト自体に動きを与える
3彫刻的表現
物が動くのではなく人が動く事で視点が変わり、その変化によってプロダクトに様々な”動き”=見えるものの変化が生まれる。

・マクロとミクロの関係性
情報を提示する際に一番よくわかるのはマクロな視点とミクロの視点、この二つが同時に見える
状態を作ることである。そのマクロとミクロの関係性を作り込むことで、プロダクトは使いやすいものになる。
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・ディテールのオリジナリティ
形としては常にシンプル=原型のような形を目指す。しかしディテールの部分にそのプロダクトのメッセージを込めることで、リチャードサッパーらしさが生まれる。
↑この感覚を意訳すると”見え方のレイヤー感”という言葉になる。基本のシンプルな形でありながらも、その中に少し作る人の個性、コダワリといったノイズのような物が紛れ込む。感受性を低く持つと気づきにくいが、しっかり見ると違いがわかる。またぼんやり見ていてもその違いが感覚的に伝わってくる。表面のシンプルな見え方の奥に潜む個性がにじみ出る感じ。最近デザインされたものの多くはこのレイヤー感が存在しないからのっぺりしたものになる。"Gods in Details."を現代意訳するとこのようなことになるんじゃないでしょうか。

以上、リチャードサッパーのまとめです。カスティリオーニやソットサス(初期)に見られる「イタリア合理主義」は物と人の関係性に着目してデザインされているので、現代でも通じる(原型的な)ものが多いのだと思います。

by shinple | 2008-11-11 16:35 | 情報デザイン

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